瑞泉寺は、寺に施された井波彫刻が有名。
瑞泉寺の参拝は、野外博物館で伝統工芸を鑑賞している気持ちでした。いざ、職人技を見に行こう。
瑞泉寺について
■名称:井波別院瑞泉寺(なみべついん ずいせんじ)
■宗派:浄土真宗 真宗大谷派
■所在地:富山県南砺市井波3050
■公式サイト:真宗大谷派 井波別院瑞泉寺
瑞泉寺はこんなお寺
井波彫刻がみどころ
井波は全国有数の木彫りの里。その木彫りのルーツは、ここ瑞泉寺。堂宇の内外に、絢爛な木彫りが装飾されています。
雨露にさらしてよいものだろうか?と不安になる。
一向一揆の本拠地となる
加賀国で栄えた一向宗。ここ瑞泉寺は、一向一揆の本拠地となったところ。それゆえ、たびたび焼失し、信徒らによって、そのたび再建されてきた。
焼失と再建を繰り返し、井波彫刻は発達する
再建時、京から派遣された宮大工により、現地の大工へ木彫のわざが伝えられる。
宮大工が京に帰ってからも、地場の大工により木彫は続けられ、さらに発展を遂げる。それが井波彫刻。
大工・松井家は、現在の松井建設
この井波彫刻で飾られた瑞泉寺の建造物をすべて手がけたのが、大工・松井家。
現在、松井家は大手ゼネコン・松井建設として存続している。
「社寺の松井」松井建設は、上場企業では最も歴史の古い会社なんですって。
本堂は日本で4番目に大きい木造建築物
1位は東大寺大仏殿、
2位は西本願寺御影堂。
3位は何だろう?
瑞泉寺へのアクセス
訪問時期:2021年春
高岡駅より
JR高岡駅南口より、加越能バス 小牧線で約1時間、「瑞泉寺口」下車徒歩1分
高岡駅南口バスターミナルからスタート
バスで移動。本数は限られているので行き当たりばったりは避けるべし。
今回は、2本目の便に乗りました。
高岡駅南口は地味
高岡駅南口は新しく整備されているけれど、コンビニひとつなく、さびしいロータリーでした。
朝食を調達するところもない。あわてて、200mほど先のコンビニまで走る。
朝食は、ますずしのオニギリ。瑞泉寺観光では食事を取る時間もなかったから、買いにいって正解。
8:47
JR高岡駅南口
■加越能バス 小牧線(小牧堰堤行)
・高岡駅南口ー瑞泉寺前 ¥780
乗車:64分
瑞泉寺口までは、バスに揺られること1時間弱。
この移動の景観は、後半が楽しい!眠るともったいないですよ。
巨大な仏像?が出現。
シルエットが、第3新東京市に立つエヴァンゲリオンに見えなくもない。
山が見えてきた。立山連峰かな?ちがうかな?
天気が悪いけれど、この鬱屈した暗さが北陸っぽい。
寺内町の雰囲気を醸し出してきたぞ。
ここで降りて、歩いていきたい衝動に駆られる。
9:51
瑞泉寺前
瑞泉寺前バス停で下車。
バス停標識まで、井波の木彫じゃないか!
バス停から、少し坂道をのぼってお寺へ向かいます。
八日町どおり
バスが停まったのは、瑞泉寺の参道、八日町通り。富山県で最初に認定された「街並み保存エリア」。ここは参拝を終えたら是非観光しなくちゃ。
瑞泉寺の参拝記録
瑞泉寺に到着。
北陸の山を背景にした佇まいが渋い。
山門
荘厳な山門。
それにしても、大きい。
山門は、井波彫刻で飾られている。
見えないところまで、彫刻が施されている。
なにこれ〜〜!
美術品でしょ!
雲水一匹龍
山門の中央の龍の彫刻。井波彫刻の祖・前川三四郎の手による「雲水一匹龍」。
飛び出してくるかのような立体感。ヒゲもきちんとあります。
そしてこの龍は、瑞泉寺の伝説になっている。
雲水一匹龍の伝説
明治12年に本堂より出火、火の手が山門に燃え移るのを防いだのが、山門中央唐狭間の「雲水一匹龍」。傍の松に絡みつき、井戸から水を吹き上げて消火した。
明治12年って、伝説の出来事としては、ずいぶんと最近だね。
雲水一匹龍が絡みついたという松は、現在は枯れてしまっていた。
水を吹き上げて消化したという井戸はあった。
井戸の上には、龍の木彫りが乗っけられている。
紋章
美しいわ。
蟇股
山門の梁を支える蛙股も、井波彫刻が施されている。
蛙股(かえるまた)
梁や桁などの横木に設置し、荷重を分散して支えるために、下側が広くなっている部材のこと。カエルのポーズに似ていることから命名。
蟇股のモチーフは、中国民間伝承に登場する八人の仙人。
躍動感あふれる木彫り。
魚と巻物の仙人。
井波彫刻は、見えない奥の方までしっかりと彫られている。立体的。
蟇股にこんな繊細な彫刻を使うなんて。
ちなみに、一般的な蛙股はこちら。
瑞龍寺の蟇股です。
瑞泉寺の井波彫刻の絢爛さがわかりますね。すごいわ。
鑑賞時の注意点:首が痛いよ
はるか上方にある蟇股。鑑賞時はどうしても「見上げる」姿勢になる。首が痛くてたまらない!
先週、寝違えてしまった。「筋違い」により回らなかった首が、ようやく30°くらい動こうようになったところ。
そんな治りたての首にとっては、井波彫刻鑑賞は酷だった。
境内
庭園や、桜・梅などの植物、国宝の仏像があるわけではない、いっけん地味なお寺。
実際には、まったく地味ではありませんからね!堂宇の内外に施された井波彫刻が素晴らしいです。絢爛!
受付閉鎖中、
拝観料は本堂で収める
山門すぐの受付所はしまっていた。
境内のトイレ
境内に立派なトイレがありました。案内板まで木彫り。
雪国仕様の二重扉のトイレ。
親鸞聖人像
浄土真宗の開祖・親鸞聖人像。
親鸞聖人像にも雪よけが施されている。
本堂
大きい屋根が特徴の本堂。荘厳です。こちらも積雪対策が施されている。ちょっと画としてはイマイチだ。
靴を脱いで本堂へあがります。
豪華絢爛!金箔張りの井波彫刻
山門やらの井波彫刻でも驚いていたけれど、本堂はさらに上をいく。本堂の欄間などに施された井波彫刻は、金箔張りで豪華絢爛。すごい迫力!
絵葉書販売あり
本堂内部の井波彫刻は写真撮影不可。絵葉書が販売されているので、記念にどうぞ。
浄土真宗のため、おみくじや、お守りの授与はなかった。
御朱印がいただける
ここ瑞泉寺は浄土真宗のお寺ですが、ご朱印がいただけます。一般的には、浄土真宗のお寺では御朱印はいただけないのですが、なぜだろう。ありがたくいただきますよ。
井波彫刻「獅子頭」
自由に触って写真を撮って良いとのことだった。カチカチしてみました。
屋根の老朽化が気になった
本堂を外からみたら、屋根の老朽化が目に留まる。大丈夫かな?
太子堂
本堂に劣らず、立派な建物。
横から見ても立派。
拝観は、本堂より渡り廊下で移動
本堂から渡り廊下を通って太子堂へ移動。
消化器の案内図も、もちろん木彫り。
堂内は禁煙。
渡り廊下からは、向かいの香部屋が見えた。
鐘を撞くことも出来る。
太子堂の案内板も木彫り。趣があって素敵。
向拝から屋根をみあげよう
太子堂に入るまえに、向拝から上を見上げてみよう。
向拝(ごはい)
屋根の一部が前方に突き出た礼拝の場所
規則的で美しいわ。
屋根を支える部材も、井波彫刻が施されている。
正面からは見えない部分なのに、こんなところまで!
太子堂の正面。
横の上には、悪夢を食べる「獏」がいた。
「桐に鳳凰」。
「波に龍」。
堂内:鳳凰の装飾
太子堂の堂内は撮影禁止。金箔こそ貼られていませんが、孔雀をモチーフにした欄間が木彫りの井波彫刻が素晴らしかった。
欄干の彫刻を見上げていると、首が痛い。
太子二歳像:秘仏
聖徳太子二歳のときの像「太子二歳像」が祀られている。毎年七月に開催の絵解き「太子伝会」の際に開帳されるのだそう。
宝物殿:閉鎖中
太子堂から廊下で繋がる宝物殿は、閉鎖中でした。がーん。コロナウィルス蔓延防止のためよね。コロナが恨めしいわ。
境内の階段から宝物殿へ行くこともできます。
いかにもお宝を納めていそうな外観。
宝物殿から眺めた、瑞泉寺境内。なかなか広い。
後小松天皇碑
後小松天皇の勅願により建立された瑞泉寺。境内には後小松天皇の石碑がありました。
鐘楼
この鐘楼の屋根の角に彫られている対の獅子は必見。井波彫刻の代表的なモチーフのひとつは獅子だそう。
参拝客は登れず、眺めるのみ。
遠くて、天気が悪くて逆光。写真が綺麗に撮れない。
藤棚
境内の中央に位置する藤棚。これだけ大きな藤棚だと、とっても見応えがありそうだ。
勅使門
境内をでて外側にまわる。山門向かって右側にある勅使門。きらびやか!
獅子の子落とし
獅子の子落としをモチーフとした彫刻。瑞泉寺の数ある彫刻のなかで、このモチーフがいちばん気に入りました。
獅子の子落とし
ライオンは、わが子を谷に突き落とし、這い上がってきた子しか子育てしないという故事にもとづく。わが子に厳しい試練を与える故事成語。
縦型の彫刻。
谷底に子を、まさに今、つき落としたところ。臨場感が素晴らしい。
写真ではこの立体感を写し撮れず。
見守る母獅子。
石垣
まるでお城かと勘違いしてしまうくらい、立派な石垣。やはり一向一揆のときの拠点になったから?城塞化したとかなのかな。(謎)
これにて参拝終了。
バス時間まで、周辺を観光します。
瑞泉寺周辺の散策
八日町通りを歩く
井波彫刻の彫師が集まるエリアでもある。
参拝寺は日曜日ですが、ほとんど人通りがなかった。
いたるところに、井波彫刻が見られます。
井波美術館
元銀行の建物を利用した井波美術館。
井波彫刻 野村清木彫工房
井波彫刻の現場を見学させてもらいました。遠目に。
感想:彫刻刀の数が想像以上に多かった
目視できるだけでも50本はあったと思う。
販売コーナーが楽しくておすすめ。井波彫刻のお値段を知ることが出来ます。
1メートル半くらいのサイズの欄間で、150~300万程度でした。やり直しのきかない、荘厳な彫刻だもの。技術と時間から考えると当然でしょう。瑞泉寺って、いったい幾らかかってるんだろう!?
国宝級の芸術品でも、お金を出せば買える。
夢があるじゃないか。
■井波彫刻 野村清木彫工房
・Googleマップ
井波城跡・瑞泉寺周辺散策マップ
見かけた散策マップの看板をもとに、スポットめぐりをしてみました。
見応えはさほどありませんが、地域密着の歴史あるスポットを歩き回るのは、楽しいものです。
井波八幡宮
蚕堂
井波城跡
臼浪水(きゅうろうすい)
金城寺(なで仏)
あっさり終了。
除雪機をみつけて興奮!
斎賀家住宅を見学
江戸時代からの建物。無料公開されている。
歴史ある家屋を拝見。
欄間もありました。
これ、150~300万円ってことだよね?
お金持ちの住宅だ。
■斎賀家住宅
・Googleマップ
いなか饅頭
@よしむら
瑞泉寺の門前すぐの和菓子店、よしむらさんにて田舎まんじゅうを買う。餡たっぷりだけれど、甘さは控えめ。皮がしっとりとしてい美味しい。
お店の中には、からくり人形もありました。
目印は、この看板ですよ。
■よしむら 瑞泉寺前店
富山県南砺市井波3035
・Googleマップ
猫さがし
ここ八日町どおりの街並みには、ところどころに猫モチーフの置物などがいるらしい。探してみるのも楽しそう。バスの時刻が迫っており、よしむらさんのところの猫しか発見できずなかった。
いつも時間に追われているなあ。バス移動の宿命ね。
11:59
瑞泉寺前
高岡駅行きのバスで戻る。本数が少ない。お寺の方とお話ししたとき、瑞泉寺まではバスで来たといったら驚かれた。乗る人が少ないんだろうな。
■加越能バス 小牧線(高岡駅前行)
・瑞泉寺前ー高岡駅南口
乗車:64分,¥780
高岡駅まで戻らずに、ひとつ手前の「瑞龍寺口」でおります。次のお寺、第15番 瑞龍寺に行くため。
13:03
瑞龍寺口
下車。
瑞龍寺に参拝する前に、腹ごしらえしなくちゃ。ラーメン店を目指して歩く。
富山ブラックを食す
富山名物といえば、白エビと富山ブラックだよね。
本場で食べる初めての富山ブラック。ものすごくしょっぱい。
大阪では数年前にはやったけれども定着しなかったなあ。美味しいですが、日常的に食べるには心理的阻害要因があり。塩分多い。
■ラーメン大長
富山県高岡市鐘紡町5-40
・Googleマップ
・食べログ
瑞龍寺
第15番札所の瑞龍寺へ。
瑞泉寺とは違って参拝客がぞろぞろと。曹洞宗のこちらのお寺は、雰囲気も違います。せっかくならばセットでの参拝がおすすめ。
おしまい。
五木寛之先生の「百寺巡礼」掲載箇所
瑞龍寺は、【第16番】。第二巻 北陸 に掲載されています。
瑞泉寺を参拝した旅の日記
瑞泉寺とセットでの参拝がおすすめ
彫刻がスゴイお寺
井波彫刻が有名な瑞泉寺。彫刻が素晴らしいお寺としては、柴又帝釈天が挙げられる。
法華経説話がテーマの彫刻が素晴らしい。
▼百寺巡礼 第44番 柴又帝釈天
知っておきたい!真宗大谷派の総本山
瑞龍寺は真宗大谷派。総本山は東本願寺です。
寺めぐりするならば知っておきたい
百寺巡礼でオススメのお寺
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