恐山は・・・
○日本三大霊場のひとつ
○天国と地獄
○境内に温泉がある
○死者の霊が帰る場所
○大祭での”イタコの口寄せ”が有名
2020年8月の参拝記。
アクセスなどの基本情報はページ最後にまとめています。
恐山について
参拝前に知っておきたいこと
恐山はこんなお寺
日本三大霊場のひとつ
比叡山、高野山とともに「日本三大霊場」のひとつとして挙げられる恐山。近畿圏にある二社とちがって、東北にある恐山はかなり趣が異なります。
恐山は,こんなのだしね。
「霊場」という同じ言葉で括って良いものだろうか。
天国と地獄
恐山には天国と地獄がある。
火山で隆起したゴツゴツした岩の合間からきつい硫黄臭の蒸気を噴出する「地獄」と、
透明度の高いブルーの宇曽利湖と、白い砂浜のコントラストが美しい極楽浜の「天国」。
この二つが隣合わせにあるのです。かなり特異な空間。ぜひ,一度は訪れた方がいいですよ。
境内に温泉がある
火山に温泉はつきもの。でも境内に温泉があり、入浴可能なのはいままで参拝したなかでは恐山だけ。
死者の霊が帰る場所
恐山には死者の魂が帰ってくると言われている。そのいわれを信じて、故人に会いに来る参拝客の足が絶えない。
極楽浜で名前を叫べば、故人が生き物の姿を借りて帰ってくるといういわれもあるんだって。
大祭での”イタコの口寄せ”が有名
毎年7月に開催される恐山大祭。その時期にはイタコがやってきて”口寄せ”(降霊術)をお願いすることも可能。
イタコは恐山菩提寺とは何の関係もないそう。イタコは恐山に常駐しているわけではないので、例大祭以外の時期にいっても会えませんのでご注意を。
五木寛之先生「百寺巡礼」
恐山は、【第70番】。第七巻 東北 に掲載されています。
その他おすすめの本
恐山へ行く前に、恐山の院代であられる南先生の著書は必読。厳しい修行の禅寺で有名な、曹洞宗大本山・永平寺で修行してきたご院代が、ご縁があって、仏教の教学等とはかけ離れたところにある「霊場・恐山」へ。ご住職の視点から語られる恐山のお話はとても面白い!
恐山の参拝記
訪問時期:2020年8月
百寺巡礼を始めてから、強く惹かれていた恐山。大阪在住のコムギには本州北端の青森県、なかでも下北半島の地にある恐山は遥か遠く、とてもじゃないけど行ける気がしていなかった。
コロナ禍の2020年夏は、海外渡航不可。国内で遠出する絶好の機会。9連休あれば下北半島だって行けちゃうな。行きたいところはタイミングがあれば訪れるべしとコロナ禍で痛いほど身に染みたもの。条件が整い、恐山へ参拝することとなったのでした。
恐山へバスで移動
前々日からむつ市内ホテルに前泊。むつバスターミナルから出発です。
むつバスターミナル出発
恐山へのバスは、1日3便(2020年8月)。少ない。始発で向かわなくちゃ。むつ市中心部は、昭和レトロな街並み。旅行らしくて良い。
バスターミナルには、小さな待合所も。
バスは終点恐山まで。乗客はチラホラ。
恐山冷水で途中停車
路線バスのはずですが、観光アナウンスも流れます。途中、「恐山冷水」で5分ほど途中停車。
冷たくて美味しい!
「その冷水なる水は不老不死とうたわれ・・・」だって。死者の集まる恐山への道中に不老不死の水があるとは。
不老不死の水はとても冷たかった。
ペットボトルに詰め替えて持ち帰る旅人も。シマッタ。調査不足だった!
立ち寄りは往路バスのみなので絶対降りておきましょう。
あのニオイで,恐山に到着したとわかる
バスに揺られると、突然、イオウ臭に襲われる。窓に目をやると湖が。宇曽利湖(うそりこ)だ。キレイ!
ものすごく、臭い。恐山の山門にはまだまだなのに、この臭いで大丈夫!?
終点の「恐山前」だとすぐに境内に入れますが、終点一つ手前のバス停「太鼓橋」で下車。「三途川」にかかる橋(太鼓橋)を見たかったから。
三途川と太鼓橋
冥土と現世を隔てる三途川、両者をわたす太鼓橋。太鼓橋は登れなかった。
川幅,短い。冥土と現世ってずいぶん近いのね。
宇曽利湖の水はとても透明度が高くて綺麗。ですが、超絶にイオウ臭いんです。見た目とのギャップが凄いな。
宇曽利湖沿いをしばらく歩くと、すぐに終点の恐山バス停へ。一駅手前「太鼓橋」で降りても、徒歩5分程度で終点に到着します。
恐山菩提寺
いよいよ、恐山の境内へ。
総門
ポケモンGOは禁止だってさ。
山門
境内を入ると、続いて山門へ。
早くも風車の姿を見つける。風車は,恐山ではお花のかわりの水子供養。
まず最初に本堂で参拝を
地獄めぐりとか温泉とか、ついつい特異なものに気が取られてしまうけれど、まずやるべきは本堂での参拝。
本堂のなかにはたくさんの,立派な日本人形や兜などがありました。それは、亡くなった人への遺族からの贈り物。
七五三を迎えられず亡くなった孫あてや、
結婚や成人を迎えられずに亡くなってしまった娘や息子たちへ。
ご遺族の無念たるや!と、涙腺がすぐに緩んでしまう。「死者の魂が常駐するところ」と信じられている恐山ならではの光景だと思う。
これぞ珍百景!?恐山で温泉に入ろう
恐山の境内には4つの湯小屋がある
恐山では、硫黄の温泉も湧いていて、なんと無料で入浴可能(参拝料は必要)。
お寺巡りをしてきたけれど、参拝と同時に温泉入浴できるお寺は初めてだわ。ちゃんとバスタオル持ってきたよ。
恐山の温泉4種類
●冷抜の湯(女湯)
●古滝の湯(女湯)
●薬師の湯(男湯)
●花染の湯(混浴)
ふたつの女湯、「冷抜の湯」と「古滝の湯」どちらにも入浴。
ふたつともとくに泉質は変わらなかったかな?隣接しているものね。時間がない方は、どちらか一方で良いかも。
冷抜の湯
かけ湯をしたのち入浴します。
石鹸シャンプーなど禁止。タオル等の貸し出しもありません。持参すること。ただし硫黄臭くなります。そして、脱ぎやすい服がオススメ。
古滝の湯
お湯はものすごく熱かった。熱いお湯はわりと得意。
花染の湯(はなぞめのゆ)
混浴と知らずに向かう。お風呂上がりのバスの運転手さんとすれ違い、挨拶。ぎょっとされた。到着して混浴だと知る。
花染の湯は勇気がなく入浴しなかった。湯小屋は境内のはずれにあり、火山らしい趣でした。
アゼルバイジャンの「泥火山」を彷彿させる泥。ゴボゴボ湧いていた。
浴場の外でも温泉湧出
側溝にも温泉が流れる。そして硫黄くさい。
硫黄臭にも慣れてくる。この強烈な硫黄のため、恐山では電気製品が1年で壊れるんだとか。
塔婆
巨大な塔婆が立ち並ぶ。天を衝く、というのは大袈裟だけれど、塔婆にしたらかなり大きめ。
地蔵堂本殿
恐山のご本尊は,地蔵菩薩。道端にたたずむ大衆の救世主。
恐山には、たくさんのお地蔵様の姿を見かけます。
奥の院不動明王
恐山名物の「地獄めぐり」の前に、地蔵山中腹にある奥の院へ。山道を登ります。
参道へ。
振り返ると,地獄。
奥の院へは,上り坂。
境内を見下ろす不動明王
奥の院には、お堂はなく、不動明王像が鎮座していた。
不動明王の見下ろす”地獄”。
お次は、地獄めぐりへ!
恐山8大地獄めぐり
地獄スポット、8つのうち7つ見つけた!あとひとつはなんだろう?わからなかった。
地獄めぐりスタート。
無間地獄
スタートすぐは「無間地獄」。仏教の地獄になぞらえたもの。ゴツゴツした岩たちに、テンションは上がります。温泉もそうだけど、普通のお寺参拝の域を超えているね、恐山。霊場だものね。
2020年8月,お盆の恐山は快晴。
岩の道を歩く。お地蔵さんの姿も。
驚くほどに黄色い。硫黄ってこんなに黄色いものなの?
温泉かな。自然の色とは思えないほどの鮮やかさ。
10円玉も錆びる。これは恐山の霊的な現象でもなく火山ガスによるもの。お賽銭を回収してからも大変だ。
塩屋地獄
地獄っぷりはよくわからず。塩屋ってなあに?説明が欲しいところ。
風車ガ、カラカラ
血の池地獄
赤茶色の水がまるで血のようだ、と聞いていたけれど、コムギが訪れたときはクリアな水だった。うーん残念。
草履と手ぬぐいは冥土への旅装束
草履と手ぬぐいを見かけることが多かった。これは、恐山から冥土へむかう死者が困らないよう、遺族が吊るすんだって。
どんな思いで手向けているのだろう。
たくさんのお地蔵さまが弔います。
賽の河原
親に会いたくて河原に石を積み続ける水子たち、積み上がる手前で崩してまわる鬼。恐山の賽の河原でも、積み上げられた石がそこかしこにある。
その横で、風車がまわっていた。
極楽浜
天国と地獄が境内に存在する恐山の、「天国」エリア、極楽浜。地獄と隣接しているなんて驚き。
宇曽利湖の白い砂浜と、透明度が高く青く透き通る湖は、まるで極楽浄土のよう。
地獄の後にたどりつく「黄泉の国」の美しさを表しているとも。
青く透き通る湖は強酸性によるもの
宇曽利湖の水が異常に透明であるのも、水に火山ガスが溶け込み、酸性値が高いため、生物の生育に適していないから 。濁る要素がないんだね。
こんなに美しいのに、そんなに恐ろしい強酸性なんだ。もちろん、生き物もいません。とにかく透明で人工的にさえ感じるほどの透明さ。不気味に美しいです。
手向けられた花たちに涙が・・・
死者へ手向けられた花に、感傷的になってしまう。うわーん。
ならんだフルーツは、故人の好物だったのかな。
石塔も積み上げられていた。
どこまでも美しい極楽浜。8月の恐山は強烈な日差し。
死者の霊を呼ぶ”魂呼び”
宇曽利湖に向かって死者の名前を叫び、そのとき自分のそばに生き物がいたら、その生き物には死者の霊が降りてきているのだとか。
コムギは亡くなった祖父母の名前を叫んでみましたが、そばに生き物は来なかった。おじいちゃんとおばあちゃん、もう、成仏しているからかな。
恐山、とても得意な空間です。
天国・極楽浜からは折り返し。
山門へもどるべく、地獄めぐりを再開。
青く透明な宇曽利湖に注ぎ込む、真っ黄色な湧水。
胎内くぐり
仏様の胎内をくぐる「胎内くぐり」。恐山でも胎内くぐりが。この「地獄谷」が胎内ってことかな?
岩山を登るだけだった。
重罪地獄
石の合間から湯気が立っていた。
金掘地獄
硫黄の黄色が付着した岩。金に見えないこともない!?
オニユリが咲いていた。たくましい。
五智山展望台
展望台へ登る。恐山境内にしてはグリーンが茂っているな。
五智如来が鎮座。
どうや地獄
修羅王地獄
荒野ゾーン
地獄めぐりを終えて、境内の南側を歩いていく。
恐山でいただける御朱印&御朱印帳
恐山は、コムギにとって特別なお寺だったので、あまり特徴はないけれども記念に御朱印帳を購入。「恐山いったんだぜ!」って、ドヤりたいから。
下北交通のバスでむつ市内へ
バスは、恐山総門から徒歩1分程度の観光案内所の横に停車しています。
参拝を終えて
恐山は、唯一無二の、死と死者を意識させられる場所でした。
地獄と天国を包含した特異な景観は、日本で育ってきて刷り込まれてきた「あの世」を連想する、そんな場所でした。温泉も楽しめるし、本当に見どころたくさんです。
親友二人にお願いしているのが、私が先に死んだとしたら,墓ではなく恐山へ行って私の名前を叫んで来てくださいというもの。死後、お墓に私はいないらしい。でも、恐山には魂は常駐してるかも?
死を悼んで欲しいというよりは、「恐山、すごいから行ってみてよ?」と、友人に自分の趣味嗜好を押し付けたい気持ちの方が強いかな。恐山は、一度は行っておくべき、日本の特異な場所です。アクセスは悪いけれども、強く推します。
恐山の基本情報
基本情報
■宗派:曹洞宗真言宗浄土真宗
■名称:恐山菩提寺(おそれざんぼだいじ)
■所在地:青森県むつ市田名部宇曽利山3-2
■公式サイト:霊場恐山(むつ市観光協会)
五木寛之先生「百寺巡礼」
恐山は、【第70番】。第七巻 東北 に掲載されています。
恐山へのアクセス
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■ 下北交通バス 恐山線
恐山(終点)下車、徒歩すぐ
参考サイト
■ 下北交通(公式)
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