自転車でめぐる
人吉・隠れ念仏の里関連スポット。
隠れキリシタンは知っていても、
隠れ念仏は、あまり知られていない?
ここ人吉で起こった宗教弾圧、その関連地をめぐりました。
隠れ念仏について
隠れ念仏とは
相良藩による一向宗信仰禁制のもと、浄土真宗教徒が表向きは他の宗派に属し、隠れて浄土真宗を信仰し続けること。
江戸幕府が禁じていたわけではなく、薩摩藩の影響が強い相良藩が禁じたもの。
浄土真宗禁制の理由
・信州門徒の団結心を怖れた(一向一揆)
・藩外への金銭流出阻止(本山・西本願寺への懇志進納)
・親鸞聖人の人間平等の教え(御同朋御同行)
隠し念仏とは別物
隠し念仏(かくしねんぶつ)は、
・種々の秘密主義をもつ念仏信仰・民間信仰
・現在でも岩手県を中心とした東北地方などに現存する信仰
例:浄土真宗隠し念仏
人吉の「隠れ念仏」とは別物です。
殉教の地等
人吉別院に貼られていたマップより。
●人吉別院(人吉市七日町)①
●楽行寺(人吉市下林町)②
●花立(人吉市七地町)③
●仏像仏具焼却場(相良村十島)④
●十四人淵尾曲聖地(相良村梁瀬)⑤
●合戦ヶ峰聖地(山江村山田)
●伝助墓地(山江村山田西川内)
●与内山首墓(人吉市瓦?屋町)
●西福寺(山江村万江城内)
●鬼ノ岩聖地(山江村万江城内)
自転車でめぐる
隠れ念仏殉教の地
人吉で自転車を借りて関連スポットを巡りました。
※人吉別院は別の日に訪問
①楽行寺
②花立
③仏像仏具焼却地
④尾曲の十四人淵
⑤人吉別院
隠れ念仏殉教の地
自転車でめぐる
くま鉄レンタサイクル
くま川鉄道(株)本社にて、自転車を借りました。
自転車レンタル
1日利用 ¥500
自転車を借りて、熊本水害の被災地を見に行ったあと、隠れ念仏スポットをめぐりました。
自転車で走る。
隠れ念仏殉教の地①
楽行寺
楽行寺:
「隠れ念仏」の遺品が残されている寺。
注意:現在、遺品は人吉別院本堂内にありました。(2021年12月)
門は閉められていた。
楽行寺
熊本県人吉市下林町273−1
Googleマップ
駐車場から回ります。
人気がない本堂。
保育園が隣接されていた。
境内には仏様の絵が飾られている。みんな絵心あるう!
本堂を見渡しても、「隠れ念仏ゆかりの品」は、見当たらず。
尋ねようにも、人がいない。
この「ゆかりの品」とは、昨日に参拝した人吉別院本堂で拝見した品々のことを指していたのでした。
以前はここ、楽行寺にて保管されていたそう。情報が古かったのね。
親鸞上人像に参拝して、寺を出る。
自転車でひたすら進む。
坂道に掲げられた看板。
走れってことかな?
踏切が出現。
路傍の石灯籠。
大きな道路にデカデカと標識を発見。
あそこだな。
自転車をとめて、あるいて進みます。
隠れ念仏殉教の地③
かくし念仏・花立
花立(隠し石仏)
球磨川をはさんで対岸にある十島仏像仏具焼却地。その地を対岸のこの地より、花を供え拝み、念仏を唱えていた場所。
ここは球磨川のほとり。
かくれ念仏 花立(隠し石仏)
熊本県人吉市七地町329
Googleマップ
石仏が鎮座していました。
でも、頭部がない。
以前のGoogleマップの投稿の写真では、たしかに頭部はあった。もしかすると、水害時の被害によるものなのだろうか。
そんな仏様の目の前を流れる球磨川。
向こう岸には、次に訪れる「仏像仏具焼却の地」。
この地から、対岸にむかって隠れて念仏を唱えていたそう。
自転車に乗って次のスポットへ。
球磨川をわたる。
人吉の旅は、どこへ行っても球磨川にぶち当たる。
晴天と鉄塔は、好きな組み合わせ。
ついつい、写真をとっちゃう。
適当に進んでいたら、変な方に進んでしまった。
最終的には”けもの道”へ突入。
ちゃんと地図を見なくちゃダメですね。
踏切に当たる。
この線は、今は動いてるのだろうか。
次のスポット「仏像仏具焼却地」を目指していると、神秘的な雰囲気に包まれる森へ。
杉の大木が、大量に伐採されていた。
これも、水害に関係があるのだろうか。
それとも、台風だろうか。
道路沿いに並ぶ背の高い杉並木。
十島菅原神社
目的地より気になって仕方ない神社。
広大な敷地なのに、人気はない。
参道の脇にも、大量に伐採された杉の大木たち。
拝殿へ。
こちらは学業の神様らしい。
しめ縄と、鈴。
裏から見た本殿。
本殿回りをグルリとしてみた。
池の周りに浮かんでいるよう。
十島菅原神社の由来は、「池には十の島があるから」。
ものすごく神秘的な神社でした。
そんな十島菅原神社からすぐ、次のスポットがある。
「仏像仏具焼却地」の標識に沿って進もう。
隠れ念仏殉教の地③
仏像仏具焼却地
仏具仏像焼却地
人吉藩内の浄土真宗門徒から没収した仏具・仏像を焼却した地。
十島仏像焼却地
熊本県球磨郡相良村柳瀬2228
Googleマップ
この柵?みたいな場所で焼かれていたそう。
帰りみちに、おそらくこちらの屋根であろう残骸を見つけた。
田んぼの道がつづく。
まだまだ、田んぼ。
日が暮れてきた。
ブルーが綺麗!
川沿いを進む。
隠れ念仏殉教の地④
尾曲の十四人淵
役人に信仰がばれて責め苦を怖れた隠れ門徒14人が、細紐で体を結び合って入水自殺した殉教の地。
ここが一番、殉教の悲劇を感じる場所ではないかしら。
かくれ念仏十四人淵
熊本県球磨郡相良村深水2513
Googleマップ
隠れ門徒たちが、信仰がばれて責め苦にあうのを恐れて、集団自決した場所。
十四人の信徒がお互いに縄で繋ぎ、入水自殺を図った場所。
人吉別院にて、殉教者のお名前も掲示されていた。
とても美しいところでした。
それがまた、悲劇さを増す。
殉教の地めぐり終了、
人吉駅へ
自転車でめぐる「隠れ念仏殉教の地めぐり」は終了。人吉駅へ急ぎます。
途中で謎の物体を発見。
崖の上に、樽のようなもの。
なにこれ?
お酒?
信仰的な、なにか?
この謎は、帰りの熊鉄職員の女性より、解を得た。
正解:ミツバチの蜜を集める箱
2022年の対馬の旅で、この箱が「蜂洞」と呼ばれていることを知る。旅をすると、いろいろなものが繋がって面白い。
自転車を返却
山田酒店への寄り道をへて、自転車を返却。
隠れ念仏にまつわる品を
人吉別院で拝観
人吉別院自体は、殉教に直接関わってはいない。
人吉別院:
明治に入って浄土真宗信仰の禁制が解かれたのちに建てられた、当地で最初の浄土真宗寺院。
禁制が解かれたあとに建立された寺院ですが、隠れ念仏に関する品等が保管されていました。(2021年12月現在)
人吉別院
熊本県人吉市七日町25
Googleマップ
隠れ念仏に関する品
隠れキリシタンが聖母マリアやキリストの像を隠しつつも信仰したように、浄土真宗の信徒もまた、仏様を隠しながらも大切に拝み続けていた。
俎(まないた)仏
まな板をスライドさせると、仏さま。
傘仏
傘のケースのなかに、仏さま。
伝助の歯
歯!?
仏様じゃなくて?
●伝助は相良藩の念仏禁制の禁を犯し処刑、晒し首にされる
●弟子の秋山和七郎が獄門台から首を盗み取り埋葬
●弟子は自分の死後に伝助のみ首が埋葬されていることが信用されないことを恐れ、伝助の歯を抜き取って観音石像の台座に納めた
●役人から、み首について詮索を受けるが「知らぬ存ぜぬ」で通した
●み首埋葬については秋山家の絶対門外秘となり長男の後継だけにのみ口伝えされた
そのため、明治中期頃まで知られなかったそう。
隠し通すのもすごいし、代々と受け継いできたのもすごい。
隠れ念仏殉教の地をめぐって
感想:
隠れキリシタンは知っているけれど、
隠れ念仏は知らなかった。
日本でも宗教弾圧は起きていたのよね。
人吉別院を訪れていなかったら、そして百寺巡礼を訪れていなかったら、知らずに死んでいたのかも。
まだまだ旅をして、知らないことを知っていきたい。
そう思った旅でした。
おしまい。
この記事へのコメントはありません。